おはようございます!
<今朝のフォーラムソラ語録>
手作り望遠鏡をのぞいて知った別世界
生き方は星空が教えてくれる(木内鶴彦著)より
●望遠鏡で星を見るようになったのは、小学校三年の夏のことでした。
●当時読んでいた学研の「こどもの科学」という雑誌に、「虫眼鏡で作る望遠鏡」という記事があったのです。
(中略)
●先生と一緒に学校の友達に声をかけ、観測会が実現することになりました。授業が終わったあと、いったん家へ帰り、暗くなったころに
あらためて校庭に集まって、みんなで星を見ることにしました。
●最初に望遠鏡で見た星は、月でした。初めて望遠鏡で見た月には、クレーターがはっきりと見えました。
●「すごい、すごい」「わあ大きい」「これが月?」などといいながら、みんなで月を見ているとき、一人の友達がポツンといいました。
●「あれ?ウサギはどこにいるのかな、うさぎがいないよ」
●そのころはみんな純情ですから、月にウサギがいると本気で信じていたのです。正直に告白すれば、星の本を読んでいた私でさえ月にはウサギがいると信じていました。
●先生はというと、私たちの反応を見ながら、ニヤニヤと笑っているだけで何もいいません。
(P55-57)
<わたしの読書メモ>
「こどもの科学」の付録でついてきた「虫眼鏡で作る望遠鏡」を授業中にせっせと作っていた木内さんを見つけしかった先生。
最終的には一番の応援団になって木内家に無かった虫眼鏡を用意してくれたり、観測会を哲だっけくれるようになりました。
わたしは、木内少年の星に対する思いや熱意もさることながら、子供の夢をキチンと捉え、希望に結びつけてあげた先生の対応に心をうたれました。
小学校三年生の子供たちが夜の校庭に集まり、「月」という、慣れ親しんではいるけど遠い存在でもある「星」の主体を、先生は目の当たりにさせてくれました。
子供たちが月を望遠鏡でみることで、視野やものの考え方、発想が一気に広がったのは容易に想像できます。
そして、「ウサギがいない?」ことの事実を体験からしる。これが既成概念をぶち壊す行為として、非常に重要だったと思います。
ニヤニヤと笑っているだけで何もいわない先生は、この結末を多分想像していたのでしょう。
子供に感動と探究心を与えるという、とても大事な役目、つまり感動体験プロデューサーとしての仕事を先生は立派になされたと思います。
いまの教育現場では、先生と子供、先生と保護者の問題がぎくしゃくしていて、なかなか生身の関係が作りにくい状況ですが、このような先生と生徒との関係がもっと全国で広がっていってほしいと思います。
そうすれば、愛情にあふれ、人を思いやり、夢を抱いた子供たちがふえてゆき、牽いては豊かな日本を形成する。そんな原動力へと繋がっていくのではないでしょうか?